世界禁煙デー

 

第21回世界禁煙デー・宮城フォーラム

 

「みやぎをスモークフリーに!」
2015年5月31日(日)開催

 

 

安達哲也、安藤由紀子
大高要子、山本蒔子
NPO法人禁煙みやぎ


キーワード:世界禁煙デー、宮城フォーラム、禁煙、スモークフリー

 

はじめに

 NPO法人禁煙みやぎは、「世界禁煙デー」の5月31日(日)にエル・パーク仙台セミナーホールにて、第21回世界禁煙デー・宮城フォーラムを開催した。昨年のテーマは「オリンピックと禁煙」だったが、オリンピック開催に向け宮城県でも受動喫煙防止条例制定を実現すべく、今回は「みやぎをスモークフリーに!」をテーマに基調講演とシンポジウムが行われた。

 

 

基調講演ⅠおよびⅡ

 NPO法人禁煙みやぎ山本蒔子理事長の開会挨拶の後、古川緑ヶ丘病院菅野庸氏座長のもと、金上病院安藤由紀子氏が基調講演Ⅰ「受動喫煙で起こる病気」を行った。サードハンドスモークによる受動喫煙の存在、受動喫煙による乳癌・肺癌・心筋梗塞・脳梗塞等の死亡率増加、受動喫煙による小児への影響、妊婦の喫煙による胎児への影響などを示した。タバコ規制枠組条約(FCTC)に従って諸外国では屋内喫煙を禁止した結果、心筋梗塞患者数が減少したことを紹介した。家庭や施設における完全禁煙によってのみ病気を防ぐことが出来ることを強調した。
 次に山本蒔子氏が基調講演Ⅱ「オリンピックと受動喫煙防止」を行った。まずFCTCについて説明し、それに基づき国際オリンピック委員会(IOC)と世界保健機関(WHO)の方針で、近年のオリンピック・パラリンピック開催都市は受動喫煙防止法(条例)が制定されるようになり、2014年にソチオリンピックを開催したソチ市でもタバコフリーに成功した経緯を話した。一方わが国では、FCTCに批准しているにもかかわらず、受動喫煙防止条例を制定している県は、未だ神奈川県と兵庫県だけに過ぎず、東京都は制定していない。東京オリンピック・パラリンピック開催に向け、宮城県も受動喫煙防止条例の制定が望まれる。

 

 

シンポジウム「宮城県に受動喫煙防止条例を」

 東北労災病院佐藤研氏が座長を務め、シンポジウム「宮城県に受動喫煙防止条例を」が行われた。
 宮城県保健福祉部健康推進課小泉みどり氏が「宮城県受動喫煙防止ガイドラインについて」講演した。「宮城県受動喫煙防止ガイドライン(概要版)」を全参加者に配布し、策定の趣旨、ガイドライン策定の経過、その概要について説明し、受動喫煙ゼロを目指すこと、段階的に敷地内禁煙を目指すことを話した。
 宮城県医師会理事、たかだこども医院高田修氏が「ガイドライン普及のために」と題して、講演した。喫煙開始年齢は20歳未満が90%であり、小児科医の立場から、子供たちにタバコを吸わせない教育の重要性を説いた。岡山大学保健管理センターホームページから「1レーンだけおしっこできるプール」というかわいいイラストを紹介し、分煙では受動喫煙を防止できないことを述べた。タバコの歴史、タバコ税、FCTCから日本のタバコ事業法まで幅広い内容をわかりやすく示した。
 宮城県歯科医師会根本充康氏は「歯科領域からタバコの害を考える」と題し講演した。小児の口腔写真を示し、非喫煙者の「歯肉のメラニン色素沈着」が日常診療でよくみられ家庭内の狭い空間における受動喫煙の結果であるとした。
 宮城県薬剤師会常任理事富永敦子氏が「宮城県薬剤師会の禁煙啓発の取り組みについて」講演した。宮城県薬剤師会では2002年に禁煙指導支援薬剤師認定制度を創設し、13年間で768名の禁煙指導支援薬剤師が認定されている。その認定薬剤師が勤務する薬局を「禁煙支援薬局」とし現在60薬局が登録されている。「禁煙支援薬局」の活動のひとつとして、処方を受けた0歳~11歳、148名の子供の症状と受動喫煙状況を聞き取り調査した結果を報告した。そのうち113名(76.3%)の家庭に喫煙者がいる状況で「換気扇の下」や「ベランダ」で分煙しているつもりでも受動喫煙になることなどを指導し、喫煙者の意識改革につなげられたと発表した。
 総合討論では座長、各演者が登壇し、活発な議論がなされた。宮城県が予定している完全禁煙実施店へのステッカーを目立つものにしてほしい、分煙では受動喫煙を防止できないことを広めなければならない、受動喫煙防止ガイドラインを県民にしっかり浸透させていくことが重要だとの議論があった。
 最後に仙台錦町診療所産業医学センター広瀬俊雄氏が閉会の挨拶をしフォーラムは終了した。

 

 

おわりに

 今回のフォーラムは、一般市民、学生、行政の保健担当者、医療関係者など、110名の参加者であった。今年禁煙みやぎは20周年を記念して、「20年の歩み」を発行した。会場ではその記念誌を展示、希望者に持ち帰ってもらった。21回目を迎え、受動喫煙防止条例が早期に制定され、スモークフリーな社会実現を希望するものである。

 

 

「第21回世界禁煙デー・宮城フォーラム」風景



山本理事長あいさつ

 


座長:菅野 庸先生 司会:安達哲也先生

 


基調講演Ⅰ 安藤由紀子先生

 


基調講演Ⅱ 山本蒔子先生

 


座長 佐藤 研先生  司会 安達哲也先生

 


シンポジスト 小泉みどり氏

 


シンポジスト 高田 修氏

 


シンポジスト 根本充康氏

 


シンポジスト 富永敦子氏

 


総合討論

 


会場からの質問

 


閉会の挨拶 広瀬俊雄先生

 

 

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