世界禁煙デー

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世界禁煙デー 第14回フォーラム

日 時:平成20年5月31日(土) 12:30~16:00
場 所:エル・パーク仙台 ギャラリーホール(141ビル6階)
主 催:特定非営利活動法人 禁煙みやぎ

 

テーマ:女性とたばことアンチエイジング

 

【シンポジウム】

「女性とたばことアンチエイジング」
 

【総合討論】


○ポスター展示 たばこの害
○体験コーナー:肺機能測定,呼気中一酸化炭素濃度,
        ニコチン依存テスト
○無料配布  :禁煙グッズ,パンフレット

○禁煙週間ポスター展示 平成20年5月31日~6月6日
 エル・パーク仙台5階ギャラリー
  防煙教育のスライド 女性と喫煙
  小中学生のポスター
 JR仙台駅 新幹線改札内広場 禁煙啓発ポスター

 

第14回フォーラム パンフレット(PDF file 6ページ)

 

第14回世界禁煙デー・宮城フォーラム(報告)

 

JR仙台病院内科・健康管理センター
佐藤 研

 

5月31日の「世界禁煙デー」に合わせて毎年開かれる宮城フォーラム。14回目を向かえる今年はエル・パーク仙台ギャラリーホールを会場に同日開催となった。今回のフォーラムでは喫煙人口のなかなか減らない“女性”にスポットを当て、「女性とたばことアンチエイジング」をテーマにシンポジウムが企画された(司会はNPO法人禁煙みやぎ、山本蒔子氏)。会場には100名を越える人々が訪れ、メモを取りながら熱心に講演に聴き入った。
厚生労働省の調査によると、平成18年の日本人の成人喫煙率は23.8%で年々減少してきているが、男性の喫煙率が平成7年より減少し、平成17年度には4割を下回ったのに対し、女性の喫煙率は10.0%のまま、平成元年より9~12%の間を上下しながら漸増しており、特に20歳代が17.9%、30歳代が16.4%と若年層で高い値を示している。
シンポジウムではまず花田勝美氏(弘前大学)が「肌の老化とたばこ」と題し、女性にとって関心の高いお肌のシワやシミと喫煙の関わりについて基調講演を行なった。近年、肌の老化を助長する因子として喫煙が取りざたされているが、“Smoker’s face”(喫煙者顔貌)や“喫煙によって差が歴然とした双子姉妹の肌”など、従来知られていた事象の発生メカニズムが医学的にも解明されつつあるという。氏はまた、喫煙によるシワは年齢依存性でなく若い年代でも発現することから、紫外線によるシワとは異なる危険因子と考えられ、喫煙を止めることによって皮膚の老化はある程度回復する可能性があるとも述べた。禁煙をめざす女性にとっては朗報であろう。
基調講演に引き続き、女性と喫煙の関わりについて各分野から6名の医師が講演を行なった。川村秋夫氏(川村歯科医院)は「歯肉とインプラントとたばこ」と題し、喫煙が唾液の分泌を阻害して歯周病のリスクを2~6倍高めることや、最近よく行なわれるインプラント治療でも、喫煙はインプラントと骨や歯肉の結合を弱めて治療成績を下げてしまうことなどを報告した。吉田晶子氏(平成眼科病院)は「眼の病気とたばこ」と題し、喫煙が発症リスクを高める眼科疾患として加齢黄斑変性症と白内障を例にあげ、加齢による眼の病気の予防には禁煙と生活の節制が不可欠であると強調した。佐藤 研氏(JR仙台病院)は「女性における心臓血管系への影響」について述べ、エストロゲンの循環器系への保護作用が期待できる閉経前では、喫煙者の冠動脈疾患のリスクが非喫煙者の5倍を越すこと、喫煙者による経口避妊薬の使用も冠動脈疾患のリスクを高めることなどを示した。安達哲也氏(NTT東日本東北病院)は「肺とたばこ」と題し、喫煙と深い関わりのある呼吸器疾患として肺がん、気管支喘息、COPD(慢性閉塞性肺疾患)をとりあげた。とりわけCOPDの原因の9割が喫煙であること、進行が緩徐であるため気づきにくく肺機能検査を受けないと診断がつかないこと、さらに、禁煙によって病気の進行がくい止められることを説明した。また、西尾美栄子氏(西尾美栄子整形外科)は「骨とたばこ」と題して講演した。氏によると骨密度は非喫煙者、前喫煙者、喫煙者の順に低下しており、喫煙者ほど骨粗鬆症になりやすいという。これは、喫煙により腸からのカルシウム吸収が低下すること、骨生成に必要なエストロゲンの分泌が低下すること、喫煙が骨芽細胞の働きを直接低下させることなどが原因であると述べた。
最後に岩本 充氏(NTT東日本東北病院)が「妊婦と胎児へのたばこの影響」と題して講演し、シンポジウムを締めくくった。氏の調査によると、胎児の中枢神経、眼、耳、心臓、四肢、腸が形成される妊娠6週前後であっても、4割以上の妊婦が喫煙していたという。さらに、全体の8%の妊婦は胎児への影響を自覚しながらも禁煙できないでおり、その結果、喫煙妊婦の約半数で切迫早産、胎児発育遅延、妊娠中毒症が認められたと報告した。そのうえで氏は、妊婦とその家族に喫煙の悪影響を訴えていくと同時に、学校の保健の時間などを利用して、将来親となる児童・生徒たちに喫煙の怖さを理解させることが重要であることを強調した。
なお、今年の宮城フォーラムは、日本禁煙推進医師歯科医師連盟宮城支部がNPO法人禁煙みやぎへ衣替えして初めて主催する講演会であった。今後は保健医療従事者に限らず、たばこ問題に感心のある多くの市民の参加をいただきながら、活動の幅をさらに広げていきたいと考えている。各方面からの一層のご理解、ご協力をお願いする次第である。

 

フォーラムでのスパイロメーターの検査風景

COPD(慢性閉塞性肺疾患)の原因の9割は喫煙である。COPDは進行が緩徐であるため気づきにくく、スパイロメーターなどを受けないと診断がつかないことも多い。

 

 

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