世界禁煙デー

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世界禁煙デー 第15回フォーラム

日 時:平成21年5月30日(土) 12:30~16:00
場 所:エル・パーク仙台 ギャラリーホール(141ビル6階)
主 催:特定非営利活動法人 禁煙みやぎ

 

テーマ:たばこと肺年齢~モストグラムで分かる秘密~

 

【基調講演】

Ⅰ:喫煙と肺の病気  黒澤 一 氏(東北大学保健管理センター)
  肺年齢とモストグラムによる呼吸機能の測定

 

Ⅱ:禁煙外来の実際  山本 蒔子 氏

 (特定非営利活動法人禁煙みやぎ理事長)
  ロールプレイ
 

【総合討論】


○体験コーナー:肺年齢測定,肌年齢測定,モストグラム,
        スモーカーライザー
○無料配布  :禁煙グッズ,パンフレット
○ポスター展示 5月30日~6月4日 
 エル・パーク仙台 5階展示ギャラリー 
 JR仙台駅 新幹線改札内広場

 

 

 

 

 

第15回世界禁煙デー・宮城フォーラム開催報告

 

 NPO法人禁煙みやぎは、毎年5月31日の世界禁煙デーに関するイベントを主催しており、今年も、第15回世界禁煙デーフォーラムが5月30日土曜日にエルパーク仙台ギャラリーホールで開催された。今年企画されたテーマは「たばこと肺年齢―モストグラフでわかる秘密」というような、たばこが呼吸器に与える影響を示唆する意味深長なタイトルである。
  禁煙みやぎ理事長の山本蒔子先生の開会挨拶のあと、NTT東日本東北病院の安達哲也先生の座長で筆者が基調講演「喫煙と肺の病気」を行った。内容は、喫煙関連疾患、いわゆるたばこ病のうち、肺疾患にはどのようなものがあるかを紹介し、その後、その代表である慢性閉塞性肺疾患(COPD)について詳しく解説を行った。COPD啓発にもなる肺年齢の概念の解説のほか、実演では、新開発の呼吸機能測定器を用いてたばこの呼吸器の障害がどのように表れるかが紹介した。肺のたばこ病では、肺癌、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、が臨床上の大きな課題である。受動喫煙では子供の気管支炎や気管支喘息、中耳炎などが注意すべき点であり、最近では、残留受動喫煙(Third hand smoke)の子供に対する悪影響も懸念される。COPDはたばこが原因であり、2020年には世界の疾患別死因統計でワースト3に入ると予測されている。考えてみれば実に驚嘆すべきことである。喫煙者の6人に1人が罹患し、その進行予防には禁煙しか有効な手段がない。COPD病初期は無症候性に進行し手遅れになりやすいため、早期発見で禁煙に誘導しなくてはならない。肺年齢を患者に知らせることは、COPDの初期徴候の異常をいち早くインパクトをもって知らせる。モストグラフは筆者らが産学連携で開発した最新の呼吸機能検査機器であるが、COPDの初期がカラーで映像化され、無症候の患者にたばこの害を自覚してもらうためのよいツールとなると期待される。実演では、無症候である喫煙者で異常なカラー画像が実際に出現し、症状はなくても実際に病変が進んでいることが示されていた。
  基調講演Ⅱは禁煙外来の実際として、JR仙台病院の佐藤研先生を座長に山本蒔子先生とJR仙台病院の五十嵐先生によるロールプレイが実演された。山本先生を禁煙外来医師役に、五十嵐先生が教師などの患者役を好演され、実際に禁煙外来で行われるニコチンパッチなどの禁煙治療薬の処方に至るまでのやりとりが手に取るようにわかりやすい内容であった。喫煙者が陥りやすい誤った思い込みや、喫煙や禁煙治療に関する情報不足に対してどのように接していくかは、教科書や手順書などをみただけで理解するのは簡単ではなく、このようなロールプレイによる解説はその一助になるもとと感じた。
  会場には天気も悪い中、100人を越える聴衆が集まり、協賛団体や企業の禁煙に関する各種展示も例年どおり行われた。肺年齢や肌年齢を無料で測定するコーナーが設けられ、参加者の関心を集めた。最後に、パネリストが壇上に上がって総合討論となり、参加者からの意見や質問を聞き、今後の宮城県における喫煙対策、あるいはわが国への喫煙関連施策に対する意見などについて討論が交わされた。
  たばこによってひそかに進行する肺の病気に関する講演とその早期からの検知方法などの実演を通して、たばこの健康被害の本当の姿を知り、これからの喫煙対策が本当に必要であり、重要なことであることを参加者の一人一人が実感したのではないかと思われた。本フォーラムはNPO禁煙みやぎが来年も主催して開催予定である。来年もさらなる充実した会となることを願っている。

(NPO禁煙みやぎ・黒澤 一、筆)

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