世界禁煙デー

 

世界禁煙デー 第17回フォーラム

 

【 シンポジウム 】
 受動喫煙対策の世界と日本の比較
              禁煙みやぎ理事   黒澤 一 氏

 


  

 

 受動喫煙は死亡、疾病および障害を引き起こす。国際的に推進されている公共の場の禁煙政策が実施されたところ、心筋梗塞などの急性疾患の減少が起こったとする報告が相次いだ。家庭や職場などでの受動喫煙は蓄積された健康被害をも生む。多くのエビデンスの集積により、IARC(国際がん研究機関)においては受動喫煙は能動喫煙と並んで発がん性リスクが最強の分類に位置付けている。

 受動喫煙の防止は最も効果が大きい保健衛生の基本方針の一つである。最近の大きな国際的な法規制の枠組みは、2005年に発効した「タバコ規制枠組条約(FCTC)」である。本条約は各国に受動喫煙防止を責務として定めており、日本を含む締約国(2011年6月現在で172カ国)はこれを遵守するように国内法を整備しなくてはならない。第8条ではタバコの煙にさらされることからの保護を求めており、「タバコの煙にさらされることからの保護に関するガイドライン」が定められた。その中では受動喫煙に関する安全な閾値は存在しないことから、完全にタバコ煙を排除しなくてはいけないことが、第一の原則として明記されており、各国がとる受動喫煙防止の法制度の方向性を示しているものとなっている。

 受動喫煙防止の動きは、世界各国における公共の場の全面的な禁煙政策となって表れている。アイルランドでは2004年に禁煙法が制定され、国内のレストラン、パブを含め、屋内の職場および公共施設での喫煙が禁止された。当初、アイルランド固有のパブ文化を破壊し、計り知れない経済的損失を生むとの趣旨を中心として、タバコ業界を中心とした猛反発があった。しかし、現在では国民の多数がこの政策を支持しており、禁煙法によって明らかな経済的損失はレストランやパブに生じることはなかった。健康に関する非常に強固なエビデンスが提示されてもいる。EUを初めとして世界各国でこの動きは追随されており、米国でも半数の州ではすでに公共の場での禁煙が法制化されている。

 わが国では、2002年の健康増進法によって公共の場での受動喫煙を防ぐ義務が管理責任者に課せられた。本法は、学校や病院などの敷地内禁煙などを推進し、タクシーの禁煙化など非常に大きな役割を果たした。しかし、すべてのこれらの施設が完全に禁煙化されたわけではなく、遊技場や酒場にいたっては屋内嫌煙家の目処はまったくたっていない。地方自治体の一部で法制化されたり、労働安全衛生法での明文化が検討されたりしているところであり、少しずつ前進が見られるものの、日本の現状は世界の先進国の趨勢に取り残されつつある。たばこ事業法の見直しを含めて抜本的法改正が急務となっている。

 

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