世界禁煙デー

 

第22回世界禁煙デー・宮城フォーラム 開催報告

 

「日本のタバコの常識は世界の非常識」
2016年5月29日(日)開催

 

NPO法人禁煙みやぎ

 

 

はじめに

 第22回世界禁煙デー・宮城フォーラムは5月29日(日)に仙台のエル・パークにて開催しました。今回のテーマは「日本のタバコの常識は世界の非常識」としました。宮城県内のタバコ対策と世界との違いを考えるフォーラムとしました。参加者は130名で、盛会に開催することが出来ました。

 

  基調講演では禁煙みやぎ会員であり、東北大学大学院産業医学分野の黒澤一先生が座長を担当しました。

 

基調講演ⅠおよびⅡ

 基調講演Iは「妊婦と夫の喫煙実態と懸念される次世代への禍根」を東北大学東北メディカル・メガバンクの栗山先生に講演を頂きました。栗山先生は、宮城県の被災地における、三世代コホートの研究から、特に石巻と気仙沼における喫煙率の高さを報告されました。妊婦の喫煙率は、全体の平均では3%でしたが、石巻では6.0%と高く、気仙沼では3.3%でした。さらにその夫の喫煙率は、平均で47.7%ですが、石巻では58.1%、気仙沼では55.4%と非常に高い喫煙率を示しました。夫の喫煙は、妊婦が受動喫煙に暴露されることを意味し、胎児への大きな影響があるとされました。被災地では喫煙が増えていることが明確に示され、今後、禁煙を進めるために、保健医療関係者の取り組みが必要であると話されました。

 

 基調講演IIは「精神科における禁煙指導について∼敷地内禁煙と禁煙外来~」を当法人の理事で、大崎市の「こころのホスピタル・古川グリーンヒルズ」の院長である、菅野先生が講演されました。
精神科の病院は禁煙が進んでいないとか、精神科での禁煙指導は難しいとかと言われがちですが、菅野先生はご自分の病院において見事にタバコ対策を進め、敷地内禁煙と禁煙外来を実施されていることを話されました。病院の職員も喫煙者は採用しない方針を明確にしていました。
しかし、宮城県精神医療センターは、残念ながら禁煙でないとのことでした。菅野先生は、ご自分の経験から、精神科だから禁煙が難しいとういう概念は全く間違いであると強調され、精神科病院においても、タバコ対策を積極的に進めていくべきと結論されました。

 

シンポジウム「日本のタバコの常識は世界の非常識」

 シンポジウムは、禁煙みやぎ副理事長の安藤由紀子先生が座長を担当し、「日本のタバコの常識は世界の非常識」として行いました。最初に宮城県登米市長の布施孝尚氏が「登米市内集会施設における喫煙状況調査を実施しての変化」と題して話されました。登米市においては平成22年に厚生労働省から「受動喫煙防止対策」の通知が出された頃は、宮城県内では男性は第6位で、35.7%であり、喫煙率は高い方でした。そこで、平成24年から3年にわたり、市内302行政区の集会施設における喫煙状況を調査したところ、この事がきっかけとなり、地域で禁煙や受動喫煙を考えるようになったそうです。平成24年では集会場の屋内禁煙が29.7%%であったのが、年々、禁煙を実施する箇所が増えて、56.6%になったとのご報告でした。

 

 次は、角田市で長く保健師として働かれた都筑美智子氏が、角田市における取り組を話されました。平成15年に施行された健康増進法に基づき「角田にこにこ健康プラン」のもとで、タバコ対策に取り組み、公共施設のタバコ自販機の撤廃や禁煙希望者への支援・分煙促進を行いました。その結果平成24年度の調査では、喫煙率は男性31%、女性9.9%と平成18年の調査よりも減少が見られたとのことでした。行政のみでなく、市民一人一人が、禁煙を考えて、禁煙活動に向けて出来ることをやりましょうと結論されました。

 

 禁煙みやぎ理事長の山本蒔子氏は「日本のタバコの常識は世界の非常識」と題して、日本がWHOのタバコ規制枠組み条約(FCTC)を批准しているにもかかわらず、この国際条約を守っていないことを明らかにしました。FCTCに基づき、受動喫煙防止を法律で定めること、分煙では受動喫煙は防止できないこと、タバコのパッケージは、ロゴや製品名を禁止し、警告写真のみにするいわゆるプレーンパッケージにすること、およびタバコの価格を高くすることを指摘しました。また、タバコ対策の管轄は健康を守るために、日本のように財務省ではなく、厚労省がすべきことなどを話しました。

  「日本のタバコの常識は世界の非常識」 スライド(PDF)
   講 師:山本 蒔子 氏 NPO法人禁煙みやぎ 理事長

 

 総合討論では、黒澤氏と安藤氏の座長のもとで行われました。石巻や気仙沼における禁煙支援を進める努力が必要であることや、受動喫煙防止の方法を住民が自ら理解して進めることが大切であるとする意見がありました。山本氏のWHOでは、タバコ対策は自主性に任せたり、マナーでは解決できず、やはり法律が必要としているとの発言もあり、活発な意見が交わされました。

 

おわりに

 今後も県民の健康増進のために、みんなが協力して地域で出来ることを進めることを確認し、フォーラムを終了しました。

 

 

 

「第22回世界禁煙デー・宮城フォーラム」風景



NPO禁煙みやぎ 山本蒔子理事長の挨拶

 


総合司会 安達哲也氏

 


基調講演Ⅰ 栗山進一氏 
「妊婦と夫の喫煙実態と懸念される次世代への禍根」

 


基調講演Ⅱ 菅野 庸氏 
「精神科における禁煙指導について~敷地内禁煙と禁煙外来~」

 


基調講演座長(右) 黒澤 一氏、
シンポジウム座長(左) 安藤由紀子氏

 


シンポジスト 布施 孝尚氏   
「登米市内集会施設における喫煙状況調査を実施しての変化」

 


シンポジスト 都築 美智子氏 
やりましょう!≪まずわたしから≫地域で取り組む禁煙活動

 


シンポジスト 山本 蒔子氏  
「日本のタバコの常識は世界の非常識」

 


総合討論 
左から山本蒔子氏 都築美智子氏 布施孝尚氏 栗山進一氏

 


会場からのご質問

 


閉会の挨拶  渡部 光子氏

 


 

 

第22回「世界禁煙デー・宮城フォーラム」トップページへ


このページの上へ