禁煙みやぎでは、地域における禁煙指導や禁煙治療の普及のために、今年も第三回みやぎ禁煙指導研究会をエルパーク仙台で2018年11月21日に開催しました。宮城県医師会や宮城県薬剤師会の会報にもお知らせを掲載させていただきました。昨年同様に、医師、歯科医師、薬剤師、看護師および看護師の多職種の皆様にご講演をお願いしました。今回の参加者は58名でした。
NPO法人禁煙みやぎ会員の大高要子氏は、PM2.5センサーを用いて仙台市内のコーヒー店やゲームセンターの空気環境を測定し、その結果を報告しました。分煙のコーヒー店の喫煙区画は非常にPM2.5の測定値が高く、しかも禁煙区画まで空気環境が悪化し分煙が意味の無いことを指摘しました。ゲームセンターの調査ではパチスロ店のほとんどは喫煙店で非常に空気環境が悪い状態でしたが、仙台初の禁煙パチンコ店(実情は喫煙室のある禁煙パチンコ店)1店や禁煙のゲームセンターが2店あり受動喫煙防止の社会的影響が多少ともみられることを報告されました。
仙台市薬剤師会会長の北村哲治氏は、地域密着型薬局を、「ハートヘルス・プラザ」と愛称を付けて、禁煙・受動喫煙防止の啓発活動をされており、その内容を話されました。今年からは「スカイブルーキャンペーン~きれいな空気を~」と名付け、区民祭り等での啓発活動(チラシとティッシュの配布)や仙台市薬剤師会主催のイベント等での啓発活動を紹介されました。さらに学校に出向いて、子供たちのために「防煙教室」を実施していることも紹介されました。
宮城県結核予防会保健師の佐藤宗子氏は「卒煙支援の取り組み」(検診・外来・COPD健診及び精検・特定保健指導)について話されました。一般健診、結核・肺がん健診、特定保健指導等を通して「卒煙したい」と考えている人がたくさんいることに気づいたので、禁煙支援チームを作り「卒煙を考えはじめたあなたへ」というパンフレットを作成し、「卒煙の方法」を情報提供し活用している事を紹介されました。
最後は「健康の社会的決定要因から見るたばこ問題」を東北大学大学院歯学研究科准教授の相田 潤氏が講演されました。喫煙行動をはじめとして、保健行動には地域や社会集団によって大きな健康格差が存在していると指摘されました。高所得者よりも低所得者で喫煙率が高いことや、住んでいる地域の社会環境により喫煙率が異なることなどにより、健康格差が生まれており、その原因になる文化や環境要因は「健康の社会的決定要因」と呼ばれ近年研究がすすめられてきた、と講演されました。その中で明らかになった事として、例えば、タバコが有害であることは知っていても吸ってしまうことの背景には社会的決定要因も存在すると指摘されました。自分の知識にかかわらず状況によって被害を受けてしまうという点では、受動喫煙はその傾向はさらに強いことを強調されました。これらから、法律の制定が社会的影響を多くの人々に及ぼすと結ばれました。禁煙みやぎは、さらに受動喫煙防止条例の制定を行政に働き変えなければならないと感じました。
参加者からのアンケートでは、多職種の方々が様々な禁煙への取り組みを遂行していることに感心すると共に、その活動を知る機会が持てて、大変有益だったとの感想が寄せられております。4人の講演者のご許可を頂き、実際のスライドも掲載出来ましたので、詳しい内容はスライドをご覧いただきますようお願い致します。禁煙みやぎでは今後もこのような研究会を予定しておりますので多くの方々の参加をお待ちしております。
プログラム
第三回みやぎ禁煙指導研究会
日時:平成30年11月21日(水)18:45~20:45
場所:エル・パーク仙台 5階セミナーホール
会 費 : 500円
主 催 : NPO法人禁煙みやぎ
テーマ『医師、歯科医師、薬剤師及び看護師による禁煙支援』
プログラム(PDF)
開会の挨拶 NPO法人禁煙みやぎ 理事長 山本 蒔子
総合司会 安藤 由紀子氏
講演Ⅰ&Ⅱ 座長 齋藤 泰紀氏
講演Ⅰ PM2.5センサーによる空気環境の測定
講師 NPO法人禁煙みやぎ 副理事長 大高 要子
スライド「PM2.5センサーによる空気環境の測定」
(PDF)
講演Ⅱ 仙台市薬剤師会の禁煙・防煙に対する取り組み
講師 北村 哲治氏
仙台市薬剤師会会長
スライド:「仙台市薬剤師会の禁煙・防煙に対する取り組み」(PDF)
講演Ⅲ&Ⅳ 座長 広瀬 俊雄氏
講演Ⅲ 宮城県結核予防会「卒煙支援の取り組み」
講師 佐藤 宗子氏
宮城県結核予防会 保健師
講演Ⅳ 健康の社会的要因から見るたばこの問題
講師 相田 潤氏
東北大学大学院歯学研究科准教授
閉会の挨拶 安達 哲也氏
会場風景
後援:宮城県医師会 宮城県歯科医師会
宮城県薬剤師会 宮城県看護協会
認定:日本禁煙学会認定 5単位 禁煙サポーター
宮城県薬剤師会認定禁煙支援・指導薬剤師更新研修