世界禁煙デー

 

第19回世界禁煙デー・宮城フォーラム

 

シンポジウム


タバコと歯周病と全身の健康


大高 要子 氏

デンタル・ミキ
禁煙みやぎ 副理事長


 

 歯の喪失の第一原因は歯周病です。全体の約42%を占めています。歯周病は歯と歯肉の間(歯肉溝)に入り込んだ歯周病菌が活動を起こす炎症です。歯周病菌の活動が歯と歯肉の間の結合組織(歯周靭帯)の結びつきを破壊し、すき間(歯周ポケット)ができ歯周組織の破壊が進行すると歯槽骨の破壊が始まります。歯はグラグラになり、やがて抜けてしまいます。
 歯周病の局所原因は歯垢(細菌性のプラーク)です。口腔内を不潔な状態にしておくと生体にとって害になる細菌が増え、その細菌が層状に塊を作り(バイオフォルム)、毒素や破壊性の酵素を分泌し歯周病を起こすと考えられます。
 一方、全身的な原因では喫煙が際立ったリスク要因です。喫煙本数(累積本数)が多ければ多いほど、また喫煙開始年齢が若いほど、歯周病の悪化が著しくなります。またタバコを吸い続けていると歯槽骨の喪失が一層早まります。

 

タバコに含まれるニコチンの歯肉に対する作用

ニコチンの細胞毒性、血管収縮作用により歯周病の特徴である腫れや出血の症状があらわれにくい。

ニコチンが歯根面に結合しスケーリングなど治療の効果を台無しにする。

タバコによる免疫能力低下作用、などがあります。


ほかにも歯や歯肉が黒く変色する、口腔ガン、白班症、口腔粘膜の黒色腫、移植歯の脱離、インプラントの周囲炎なども起こりやすくなります。

 

全身との関係も新しい研究が発表されています。

(資料提供:川村秋夫先生)

 

心臓の冠状動脈バイパス手術を受けた患者さんの血管壁に歯周病菌が存在していることが明らかにされました。

糖尿病の患者さんでは有意に歯周病が進行していることが示されています。そして歯周病の治療をすることで、糖尿病の患者さんの歯周病が軽快していくと共に血糖コントロールも改善されていくという研究があります。

ほかにも誤嚥性肺炎、動脈硬化、早期低体重児出産などの全身病との関連が考えられ研究されています。

寿命に関しても、歯茎が歯垢・歯石でおおわれている人は明らかに8~13年くらい寿命が短かったという長期追跡調査も発表されています。

 

このように私たちにとって歯は全身の健康を支える一部であると考えられます。
大切な歯を守るためには歯のお手入れと禁煙が第一です。 

 

 

■『タバコと歯周病と全身の健康』スライド原稿

https://docs.google.com/presentation/d/
1bMSuAnICjtAiYclDg2qB0V2BXGCmqwp49i8ytDxR4fM/edit?usp=sharing

 

 

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