世界禁煙デー

 

第19回世界禁煙デー・宮城フォーラム

 

シンポジウム


タバコで起こる意外な病気-眼科領域-

 

布施 昇男 

東北大学東北メディカル・メガバンク機構
ゲノム解析部門 教授

 


 タバコパッケージの警告に表示されている肺がん、心臓病(心筋梗塞)などについては一般の方の認知度は高いものがありますが、喫煙が眼に及ぼす影響についてはほとんど知られていません。しかし、いくつかの調査から、喫煙が危険因子になり得るとされている眼の病気に「白内障」1)「加齢黄斑変性」2)「緑内障」3)があります。近年日本でも高齢者に増加している、ものがゆがんで見えたり、視野の中心部が見えにくくなる加齢黄斑変性では、喫煙による発症リスクが2.2倍になるというデータがあります2)。また、現在失明原因の第一位である緑内障では、現在の喫煙によってリスクが2.9倍になっているとしているものがあります3)。
外来で診療にあたっていると、緑内障の患者さんで時々暗く見える時があります、と言われることがあります。よくよく聞いてみますと、喫煙している時に暗く見えるということがわかります。これは、喫煙によって血管が収縮して(縮んで)しまうことが原因と考えられます。
これらの病気の予防のためには、食事・運動などの生活習慣への配慮も大切ですが、禁煙が重要と考えられます。今回は、たばこで起こる、悪くなる意外な病気として、眼科の病気を紹介いたします。

 

 

1)Kelly SP, et al. J Cataract Refract Surg 31:2395-2404,2005.
2)Miyazaki M, et al.Invest Ophthalmol Vis Sci 46:1907-1910,2005.
3)Wilson MR, et al. Arch Ophthalmol 105:1066-1071, 1987.


 

 

 

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